現代中国文化論ゼミ(高屋 亜希)

現代中国の100年におよぶ歴史は、絶え間ない戦争や政治運動により、多くの人々が故郷からの移住、分断といった体験を余儀なくされてきました。また改革開放以降も、自己実現のチャンスを求め、農村から都市へ、内陸部から沿海部へ、さらには海外へ移住する流れは止まりません。その一方、近年発展めざましい中国に海外から帰国する流れも顕著になっており、現代中国社会および現代中国文化は、そうした移動という相のもとに考える必要があるでしょう。

このゼミでは大陸地域だけでなく、台湾や香港、さらには日本や東南アジア、遠くアメリカやヨーロッパなど、中国から移住した人々が移住先の諸地域で果たしてきた社会的役割や文化的営為も視野に入れていきたいと思います。その上で、そうした諸地域との交流のもとで展開してきた、現代中国の小説・映画・演劇・音楽など、さまざまな文化現象について一緒に考え、理解を深めていきましょう。

  • 中国語の履修は必須ではありません。しかし、日本語資料だけで現代中国について考えることは難しく、ゼミ論のテーマも自ずと限られてしまいます。中国語資料を使うことができれば、自分の力で中国に向きあい、考えることができます。
  • ゼミは3年生と4年生が合同で行っています。3年生は共通テーマと課題図書を決め、全員で講読して、春学期末に課題図書の要約と書評を作成、秋学期にグループごとのプレゼンテーションにまとめてもらっています。
  • この数年の共通テーマは「日本華僑社会」、「現代中国と故宮博物院」、「天安門広場」、「台湾現代史」などで、中国や台湾について、その社会や歴史について理解を深めました。2025 年度は家永真幸『パンダ外交史』(講談社、2022年)と『国宝の政治史―「中国」の故宮とパンダ』(東京大学出版会、2017年)の一部を共通課題図書に選びました。「中国近現代史」、「中国外交と文化の関係」、「日中関係史」、「中台関係史」についての基礎的な理解を確認しながら、読み進めているところです。
  • ゼミ論は各自やりたいテーマを見つけて取り組んでもらいます。3年生は秋学期以降、ゼミ論のテーマを決めて、先行研究のリストを作ってもらいます。4年生はゼミ授業で途中経過を報告してもらう他、草稿の提出、書き直しの過程を経てゼミ論を完成させます。3年生と4年生が一緒に議論することで、互いに視野を広げ、関心を掘り下げていくことを期待しています。
  • 過去に提出されたゼミ論のテーマは文学、映画、アート、スポーツ、メディア、広告、教育、都市政策、食文化、ゲームなど。2020年度卒業生のテーマも中国メディアの世論監督報道、中国におけるビッグデータの活用、反体制知識人「劉暁波」の美学思想など、多岐にわたっています。

中国について何の知識もないところからゼミに入り、1年間中国に留学。現地で培った語学力と人脈を活かし、雲南省の農村でフィールドワークをしてゼミ論をまとめ、中国関係の商社に就職した学生もいます。自分がその気になりさえすれば、思いもよらなかった世界の扉が開く。大学生の時にこそ新しいことに挑戦してみましょう。