地中海文化論ゼミ(井上 文則)

ゼミの担当者である井上は、古代ローマ帝国の歴史を研究しています。特に軍人皇帝時代(235年~284年)と呼ばれる混乱期のローマ帝国の政治史と、同時代に流行したミトラス教という宗教に関心を抱いています。ミトラス教のほうは、聞きなれないかもしれませんが、これは牡牛を殺す独特の姿で描かれるミトラと呼ばれるペルシアの神を崇拝する宗教です。ミトラス教は、古代において、キリスト教の最大のライバルであったとも考えられています。

担当者の関心は以上のようなものですが、ゼミでは、時代を問わず、広く地中海周辺の諸国の歴史や文化について勉強します。ゼミは、ゼミ論文を書くことが最終目的ですので、ゼミ論文に向けての報告を行ってもらうことが授業の中心となります。また受講生の皆さんの興味の対象を広げてもらうために、ゼミに関係する本を毎年一冊、一緒に読むようにしています。例えば、過去には、藤沢道郎『物語 イタリアの歴史』(中央公論新社、1991年)や北村暁夫『イタリア史10講』(岩波書店、2019年)などを読みました。

過去のゼミ論文のタイトルは、次のようなものです。「古代ローマの遺棄奴隷は戦争捕虜としての奴隷を代替したか」、「戦後、国際比較を通した現代日本の労働意識課題」、「近世地中海における海賊倫理」、「シチリア・マフィアの影響力」、「マクドナルドからみる食文化」、「第二次世界大戦において、チャーチルは国をどのように率いたか」、「アーサー王伝説における聖杯探索譚の変化と源流」、「難民受け入れ問題の今後〜ドイツとの比較から見る日本の難民問題〜」、「現代スペイン語における el lenguaje inclusivoについての一考察」、「コンシューマーゲーム業界における日本とヨーロッパ」、「なぜ古代ギリシア人は、古代オリンピックに夢中だったのか」、「ルネサンス絵画史におけるジョット評価の再考」、「近世イングランドから見る魔女狩りと使い魔」。

これらのゼミ論文のタイトルから分かるように、地中海文化論ゼミではありますが、実際には地中海文化を超えるテーマも多々あります。このような状態になっているのは、担当者としては、基本的にはゼミのテーマに沿った研究をしてもらいたいと思う一方で、最終的には自分が本当に面白いと思うテーマを追求してもらいたいと考えているからです。とはいえ、初めから地中海周辺諸国の歴史や文化に興味がないのは困りますので、このゼミを選択する以上は、まずはゼミのテーマに関心をもって来てくれることを希望します。