2022年度
『多元文化』第12号

― 目次 ―
春期大会シンポジウム特集「聖徳太子1400年遠忌記念 聖徳太子の実像と伝承」
- 前言吉原浩人
- 文献と金石資料から浮かびあがる聖徳太子の人間像石井公成
- 聖徳太子と達磨の再誕邂逅伝承再考 ― 光定『伝述一心戒文』が創りだす仏教神話 ―阿部泰郎
- 磯長聖徳太子廟と「廟崛偈」をめぐる言説吉原浩人
論文
- 「地方志」における「列女」 ― 清代の歴史家、章学誠を中心に小二田章
論系だより
- 二〇二二年度 論系体制・活動報告
- 講演会等報告
- 二〇二二年度 ゼミ論文・卒業研究タイトル一覧
彙報
- 学会活動報告・会則・研究発表に関する内規・役員一覧・執筆者紹介
学生研究発表要旨
ゼミ論文・卒業研究優秀論文要旨
書評論文
- バタヴィアの英雄 ― 反逆のピーター・エルバーフェルトをめぐる言説 ―金孝珍
論文
- Says Who? Some Thoughts about Studying East Asian Literature through English Translationsクリストファー リーブズ
ニューズレター発行
『多元文化論系ニューズレター』第七号が、二〇二二年六月に発行された。論系所属の教員・学生(JCulP現役学生と卒業生)
によるエッセイ、論系の情報等が掲載されている(一〇四頁参照)。
論系行事
コロナ禍により、前年度に引き続き今年度も、二年生向けの論系ゼミ・卒業研究ガイダンス(九月)をはじめ、文化構想学部一年生向けの論系進級ガイダンス(七月・一一月)などの論系行事がオンラインで行われた。なお、二年生を二〇名規模のクラスに分け、担任(井上、伊川、垣内、中澤〔春〕・ホサイン〔秋〕、小二田)のもと、数回のクラス・ミーティングを対面で行った。
シンポジウム「地方史誌研究の現在」報告
本シンポジウムは、研究プロジェクト「地方史誌研究の現在」(代表:小二田章)の立ち上げ企画として構想されたものであり、早稲田大学総合人文科学研究センター(RILAS)研究部門「グローバル化社会における多元文化学の構築」及び「大元一統志・大明一統志比較研究会(略
称:大元大明研究会)」の共催を得て、二〇二二年三月七日(月)に開催された。他に二〇二一年度東方学会「若手研究者の研究会等支援事業」、二〇二一年度科学研究費助成事業(基盤研究(C)「地方史誌研究の基盤形成」)の支援を受けたものである。
「「地方史誌」(歴史を中心に行政・地理などを項目別に記した総合的書物)は、近世東アジアの各地域で共通して成立した。本研究プロジェクトは、このアジア地域の史料研究を敷衍して、世界史上の「地域の歴史的書物を編纂し必要とするようになる背景」を比較的に検討する議論と環境の形成、言い換えれば「地方史誌学」の確立を図るものである。本シンポジウムは「地方史誌」の学界における議論基盤を構築し、継続的に議論が行われる状況をつくることで、最終目標である「地方の歴史はなぜ編まれるのか」を(地域を問わない)学界全体で共有し考える端緒となることを企図したものである。
シンポジウムは、新型コロナ禍により、当初予定していた対面とZoomによるオンライン併用の開催から、完全オンラインによる開催に変更の上、以下のプログラムで行った。
日 時:二〇二二年三月七日(月) 十三時〜十八時
方 式:Zoomオンライン会議
司 会:近藤 一成(早稲田大学名誉教授)
《基調報告》
◇小二田 章( 企画主催者 早稲田大学文学学術院講師
(任期付)、大元大明研究会幹事)
「地方史誌とはなにか?」
《研究報告》
◇佐藤 大悟(青山学院大学附置青山学院史研究所助手)
「明治前期日本の地方史誌編纂」
○コメント:村井 誠人(早稲田大学名誉教授)
◇巴 兆祥(復旦大学歴史地理系教授)
「近五年の中国方志学の研究動向」
○コメント:白井 哲哉( 筑波大学図書館情報メディア系教授)
◇森山 央朗(同志社大学神学部教授)
「中東のムスリムたちの地方史誌の色々」
○コメント:吉野 正史(大元大明研究会会員)
◇小原 淳(早稲田大学文学学術院教授)
「「地方史」の編み方、読み方、伝え方│近現代ドイツの場合」
○コメント:須江 隆(日本大学生物資源学部教授)
《総括コメント》
◇吉田 光男(東京大学名誉教授)
「朝鮮近世の地方・地域と住民」+「総合コメント1」
◇原 淳一郎(米沢女子短期大学教授)
「総括コメント:日本近世史の立場から」
《ディスカッション》
○報告者とコメンテータ全員
オンラインの延べ参加者は七十名を数えた。日本国内のみならず、中国・韓国からの参加もあり、活発な質疑応答が行われ、盛況裏に終了した。本シンポジウムの成果を踏まえ、論文集『地方史誌研究の現在』(勉誠出版)が近刊予定であり、報告の内容などはこちらを参照いただきたい。最後に、開催に尽力していただいた総合人文科学研究センター助手の長谷川隆一氏、議論通訳を行っていただいた文学学術院非常勤講師の許家晟氏、そしてご支援をいただいた事務所担当者に、深甚の謝意を表したい。
〔報告:小二田 章(文学学術院講師(任期付))〕
大元大明研究会「公開報告会」報告
本報告会は、「大元一統志・大明一統志比較研究会(略称:大元大明研究会)」(幹事:小二田章)の定例行事として、二〇二二年三月十日(木)に、大河原知樹氏(東北大学大学院国際文化研究科)をお招きして講演をいただいた。本会は、早稲田大学総合人文科学研究センター
(RILAS)研究部門「グローバル化社会における多元文化学の構築」の共催を得て、他に二〇二一年度東方学会「若手研究者の研究会等支援事業」、二〇二一年度科学研究費助成事業(基盤研究(C)「地方史誌研究の基盤形成」)の支援を受けたものである。
二〇一四年に結成された本研究会は、元末〜明初期の史料状況とその社会的背景を探ることを目標として、その時期を挟む二つの「一統志」、すなわち『大元一統志』と『大明一統志』の記載を比較し、併せて関連の記載を検討する会である。今年度は、コロナ禍のもとで通常活動が開
催できなかったが、これまでの研究会の成果報告の一端として、小二田章・高井康典行・吉野正史編『書物のなかの近世国家│東アジア「一統志」の時代』(勉誠出版、二〇二一年八月)を公刊した。公開報告会はこれまでの成果を踏まえ、より大きな視座に検討を広げていく中で、東アジアの外の地域にて同様の書物が編まれる背景とその歴史的意義を考える機会として設定された。
プログラムは以下の通りである。
日 時:二〇二二年三月十日(木) 十三時〜十五時
方 式:Zoomオンライン会議
司 会:小二田 章( 早稲田大学文学学術院講師(任期付)、大元大明研究会幹事)
趣旨説明・幹事あいさつ
《講演》
◇大河原知樹(東北大学大学院国際文化研究科教授)
「オスマン帝国の「総志」/「方志」:「国家年鑑」/「州年鑑」の構成と内容」
質疑応答と議論
本会は同じ主催者が開催したシンポジウム「地方史誌研究の現在」の二日後に開催され、また開催の宣伝があまりできなかったこともあり、参加者は七名と小規模にとどまったが、質疑時間の議論は、東アジアを中心とした研究を行ってきた大元大明研究会の会員からの質問と応答が交わされる熱烈なものであった。講演と個人の研究の重なりあう部分への関心が醸成されるとともに、終了後の懇親会では、大河原氏の学部生時代の思い出などをうかがうことができるなど、研究と交流の両面にわたり、意義深い成果をあげることができた。
〔報告:小二田 章(文学学術院講師(任期付))〕


